聡明な女性

9月2日夜、母が亡くなった。
 
・・・・・
 
「聡明な女性でした」
喪主である弟が葬儀のあいさつで母のことをそう紹介した。
「70歳を超えてパソコンを習得し・・・・姉のブログを読むのを楽しみに・・・・」
私は、うんうんと頷きながら、それまでちょろちょろだった涙が鉄砲水のように
流れ出した。
 
「働き者」「器用な人」「優しく明るい人」・・・
母を知る人たちはそれぞれの思い出をもとに母の人間像を描くだろう。
しかし、パソコンを習得しスカイプを使えるまでになった母を知る人は多くない。
 
「Yukoちゃん、教えて」とよく電話がかかってきた。
「はい、そこそこ、そこをクリックしてみて」
「あああ、できたあ!」
手順をすぐにメモし、何度も繰り返す。
「完全に理解しないと気がすまない」と、父のことを放ったらかして
パソコンにのめりこんでいた。
 
母は自身の知的能力開発を楽しんでいたことは間違いない。
さらに、母はパソコンを操ることで、パソコンなんか無理と頭っからあきらめている同世代の人たちに対して
多少なりとも優越感を感じていたのではないだろうか。
私はただの「働き者」だけじゃないのよって。
 
普段は無口で母に対してもいつもぶっきらぼうだった弟が 
葬儀で母の知られざる一面を紹介し、母のことを「聡明な女性」と呼んだ。
息子が母に贈る最高の賛辞だ。
 
 通夜が終わった後、

夫が
「息子から”母は聡明な女性でした”と言ってもらえたおかあさんは本当に幸せだなあ」と言った。
「だったら、あなたもお母さんに言ってあげなさいよ、元気な今のうちに」とあの時は返したけれど、
あの言葉は亡くなったしまったからこそ輝いた賛辞だったのかもしれない。
 
でも・・・
やはり・・・
できるものならこっそり母に聞かせたかった。
あの弟の言葉を。
広告

聡明な女性」への2件のフィードバック

  1. 母が亡くなってから、ブログを最初の方からずっと読んで、母のことを書いた記事を探してるの。こんなことも書いた、あんなことも書いた・・・って、すごく懐かしい。母は、最後の入院の前、まだ少し元気があった頃までは、ほぼ全部このブログを読んでたと思うの。泣かせたり、ハラハラさせたり、苦笑させたり・・・直接交わした会話は少ないけれど、その代わりブログでずっと繋がってたってことよね。ブログを続けて本当に良かった。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中