シェルター

普段とは違う特別な事態の中で
平静を保つため確保したシェルターは
「本の中の世界」だった。
 
入院中の母に付き添っている時も、
亡くなってから葬儀までの3晩、同じ部屋で母の遺体と二人っきりで寝ていた時も、
ずっと本を読んでいた。
 
読みかけの「レディージョーカー」は
もう終わり近くだったので、病院で読み終えた。
次に開いたのは
羽田空港で買った本
「スープ・オペラ」・・・阿川佐和子の小説だ。
 
軽妙な筆致。
読みやすく、ストーリーもなかなか。
 
おかげで葬儀が終了するまでの間、
狂騒曲がガンガン流れる日中の疲れは、
夜の読書タイムで癒すことができた。
 
悲しい時に、阿川佐和子?
と、自分の神経を疑ってみる。
 
確かに変。
 
でも、
ずっと前から
母の死は自然の流れとして覚悟していた。
母の肉体がなくなっても母とのつながりは決して消えない。
「だから、ちっとも悲しくないよ、私」
と思いたくて
あの時本屋で無意識のうちに、
「スープ・オペラ」を選んだのかもしれない。
 
葬儀の前の晩にスープオペラを読み終え、
シェルターがなくなった。
 
次の夜、つまり葬儀を終えた夜、
急に悲しみが押し寄せてきた。
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シェルター」への3件のフィードバック

  1. 状況は全く違うけれど、本にのめり込んでいく心境、すごくわかる。本はどこでもドアのように、瞬時にその中に入り込めてしまって、一時何もかも忘れることができる。私は最近また不眠と不安の症状が強くなってきていて、それがどうにも苦しい時は本を手にする。だからこの夏読んだ本の数は半端ではなく、これから読む本もすでに山になっている。安心の素でもあるよ。これからがおかあさんと向き合う第二段階ともいえるのかな。そしてもしかしたら今まで以上に近くに感じる存在になり得ることもあるのかな。亡くなった人は、その人を愛する人達の心の中で生きるんだね。

  2. 本はどこでもドアだったり、ビタミンのような役目をしたり・・・・本に感謝だね!昨日から小さな額に母の写真を入れて飾ってるんだけど、一日に何度も目に入り、「これまでこんなにいつも母の存在を意識したことあったっけ?」って感じ。これって、もう第2段階?

  3. もっと大きな額にしてください・・というおかあさんの・・・なわけはない。そうだね!きっとおかあさんは家族に感謝なさって亡くなったと思うの。だからスムーズに第二段階に移行したんだよ!おかあさんの力は未だ健在ってことだよね。Yukoさんを引きつけているってことだから。ももちゃんの顎と並んでいるの?

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